「アップサイクルで広がる紅型の輪」
2025.07.19
皆さん、こんにちは!
いつも城間びんがた工房のホームページを見ていただき、本当にありがとうございます。
最近の沖縄、なんだか季節も気候も昔とちょっと違う気がしませんか?以前はフィリピンあたりで台風が生まれて、それが沖縄にやって来るのが定番でしたが、最近は沖縄のすぐ近くで台風が発生することも増えて、「あれ?なんか場所も季節も少しずつ変わってきてる?」と、工房でもみんなで話題になっています。もしかして、沖縄もだんだんアジアっぽい気候になってきたのかもしれませんね。
私が若い頃にインドネシアで暮らしていた時は、1年中ほぼ28度くらいで、まさに常夏!果物も安くておいしくて、毎日パパイヤを食べては幸せだなぁと思っていました。そんな南国らしいワクワク感や、“沖縄の空気感”が、工房の日々やものづくりの中に流れている気がします。
それにしても、自分の好きなものや興味のあるものを形にできる仕事ができるというのは、とてもありがたいことです。城間びんがた工房は私で16代目、長い歴史の中でたくさんの方に知ってもらって本当に感謝しています。でも正直、10代20代の若い方にはまだまだ知られていないんだろうな、とも思っていて、「どうしたらもっと知ってもらえるかな?」と日々考えています。
そんな中、今回はちょっと面白いご縁で新しいプロジェクトに参加することになりました。沖縄の先輩で、今は北九州のネスレ営業部にいらっしゃる方からお声がけいただき、一般財団法人アップサイクルさんの企画に参加できることになったんです。
紅型や沖縄のものづくりって、ただ生活のためだけじゃなく、琉球の誇りや大切な文化を守りたい――そんな強い思いが原点にあります。私の祖父も終戦直後、苦しい中でも「琉球の誇りを守るために」と紅型の制作を始めました。その心は今も工房に流れているし、私もどうやって大切な伝統を守りながら、新しいものづくりにチャレンジできるか、いつも模索しています。
今回のアップサイクル企画では、ネスレのコーヒーパックをリサイクルした特別な紙が使われているんですよ!その紙には25%も再利用素材が入っていて、しかも顔料の発色もどこか温かみがあって新鮮。紅型の原画をもとに、データ化してプリントした製品なので、気軽に手にとってもらいやすいアイテムに仕上がりました。
「紅型ってよく知らない」「初めて見た!」という方にも、ぜひこのプロジェクトをきっかけに、沖縄や紅型の魅力を感じてもらえたら嬉しいです。
これからもこのホームページやコラムを通じて、工房の日常や新しい取り組み、沖縄らしい空気感をたくさん発信していきます。どうぞお楽しみに!


より販売貸開始(ドラッグされました)-pdf-768x1024.jpg)
-pdf-768x1024.jpg)
より販売貸開始(ドラッグされました)-1-pdf-768x1024.jpg)
紅型に、時間と祈りを宿す
私は紅型を、単なる染色技法ではなく、
沖縄という土地で積み重ねられてきた時間や祈り、
そして暮らしの感覚を受け止める「文化の器」だと捉えています。
布に色を置くという行為の奥には、
自然へのまなざし、人への想い、
そして生き方そのものが静かに重なっています。
その感覚を、できるだけ正直に、今の時代の言葉と形で手渡していくこと。
それが、私が紅型と向き合い続ける理由です。

城間栄市プロフィール 生い立ちと紅型との距離
1977年、沖縄県生まれ。
城間びんがた工房十五代・城間栄順の長男として育ちました。
幼い頃から、工房は日常の延長線上にありました。
染料の匂い、布を干す風景、
職人たちの背中や交わされる何気ない会話。
それらは特別なものというより、生活の一部として、自然に身の回りにありました。
本格的に工房に入り、父のもとで修行を始めたのは、
沖縄県芸術祭「沖展」への初入選をきっかけとしています。
紅型を「受け継ぐもの」としてではなく、
自分自身の人生として引き受ける覚悟が、
そのとき初めて定まったように思います。
外の世界で学んだこと
2003年からの約2年間、
インドネシア・ジョグジャカルタに滞在し、
バティック(ろうけつ染)を学びました。
異なる気候、異なる宗教観、異なる生活のリズム。
その中で工芸がどのように根づき、人々の暮らしと結びついているのかを、
現地での生活を通して体感しました。
この経験は、
「伝統を守ること」と「変化を受け入れること」は、
決して相反するものではない、
という確信を私にもたらしました。
受賞・出展についての考え方
これまで、沖展、日本工芸会、西部伝統工芸展、
MOA美術館岡田茂吉賞など、
いくつかの評価や賞をいただいてきました。
また、文化庁主催の展覧会や、
「ポケモン工芸展」など、国内外に向けた企画展にも参加する機会を得ています。
こうした節目を迎えるたびに、
私自身の評価以上に、
紅型という存在を知ってもらう機会が広がっていくことに、
大きな喜びを感じています。
一つの作品が、
「沖縄にはこういう染め物があるのですね」
という小さな気づきにつながる。
その積み重ねこそが、紅型の未来を静かに支えていくのだと感じています。
制作について
制作では、伝統的な技法を大切にしながらも、
その時代、その感覚にしか生まれない表現を探り続けています。
代表作の一つである紅型着物《波の歌》では、
沖縄の海を泳ぐ生き物たちの姿を、
藍色を基調に、リズムと奥行きを意識して表現しました。
新しさを声高に主張するのではなく、
布に触れた人が、
どこか懐かしさや安心感を覚えるような仕事を目指しています。
今、そしてこれから
現在は、
城間びんがた工房十六代代表として制作を行いながら、
日本工芸会正会員、沖展染色部門審査員、
沖縄県立芸術大学非常勤講師としても活動しています。
これらの役割もまた、
紅型を「閉じた世界」に留めず、
次の世代や、まだ出会っていない人たちへと
静かにつないでいくための一つの手段だと考えています。
これからも、
展覧会やさまざまな協働を通して、
紅型という文化に触れる“入り口”を、少しずつ増やしていきたい。
それは広げるためというより、
必要な場所に、必要なかたちで、そっと灯りを置いていく
そんな感覚に近いものです。
おわりに
公式ホームページでは、
紅型の歴史や背景、制作に込めた考えを、
少し丁寧に言葉にして残しています。
Instagramでは、
職人の日常や工房の空気、
沖縄の光や緑の中で息づく紅型の表情を、
より身近な距離感でお伝えしています。
どちらも、紅型を「特別なもの」にするためではなく、
今を生きる私たちの暮らしと、
静かにつながる存在として感じていただくためのものです。
この場所を訪れてくださったことが、
紅型との、ささやかな出会いとなれば幸いです。

LINE公式 https://line.me/R/ti/p/@275zrjgg
