祈りは、彫ることで光になる。「木仏と紅型」【イベント】

木仏と紅型

私は、城間びんがた工房の代表の妻です。
その立場にあります。

けれど今回、私は「城間びんがた工房として」ではなく、
ひとりの個人事業主として会社を立ち上げました。

その目的は、ただ一つ。
紅型(びんがた)を、もっと広く発信し、伝えていくこと。

私自身の意志で。
紅型を未来へつなぐための、新しい挑戦として。


おはようございます。
澄みきった空の下で、この時間を迎えられていることに、心から感謝しています。

昨日より「木仏(もくぶつ)」展が始まりました。
オープニングから本当にたくさんの方に足を運んでいただき、胸がいっぱいになる思いです。

人が集まり、作品の前で立ち止まり、静かに息をする。
それだけで空間の温度は変わります。
あたたかく、やわらかく、祈りのような空気が流れていました。

オープニングトークはほぼ満席。
立ち見の方もいらっしゃるほどで、皆さんのまなざしの真剣さに、こちらが励まされる時間でした。
30分という時間は、あっという間に過ぎていきました。

今回出展いただいている釈華楽さんは、もともと木仏を彫る人生ではありませんでした。
ご家族の死をきっかけに、祈るように木を彫り始めた。
それが、わずか2年前のことだといいます。

72歳から、ものづくりを始める。
今は75歳。

時間の長さではなく、心の密度が作品に宿っていました。

最初の1年半は、取り憑かれたように彫り続けたそうです。
悲しみと問いと祈りの中で、ただ木と向き合う日々。

そして今は、一本一本と対話するように、丁寧に彫る時間へ。

その歩みを聞きながら、私は思いました。
ものづくりとは、人生そのものなのだと。


私も、紅型に携わる人間です。

いつ、人は創り始めるのか。
どんなきっかけで、情熱は灯るのか。

年齢ではない。
経験の長さでもない。
「今ここ」で動き出す心こそが、始まりなのだと。

トークの中で何度も出てきた言葉があります。
それは「祈り」。

木仏を彫ることは、造形ではなく祈り。
木に触れ、形を生み出すことは、誰かを想う時間。

紅型も同じだと、私は思っています。

色を重ねること。
型を置くこと。
布に命を吹き込むこと。

それは、誰かの幸せを願う行為です。

一見、木仏と紅型は違う世界に見えるかもしれません。
けれど、その奥に流れているものは同じ。

祈り。
手のぬくもり。
誰かを想う気持ち。

ものづくりは孤独に見えて、孤立ではありません。
支え合いの中で、応援の中で、場の中で育っていくものです。

当日は城間びんがた工房代表の城間も交えながら、ゆるやかに対話が進みました。
形式ばった質疑応答ではなく、会場の空気が自然と響き合う時間。

話す人と聞く人の境界が溶けて、
ひとつの“場”が生まれていました。


今回の展示では、購入可能な紅型の小物やタペストリーも並んでいます。
けれど、それだけではありません。

祖父が終戦直後、舞踊衣装として染めた紅型があります。
物資のない時代、アメリカ軍のベッドシーツの木綿を使って染めたものです。

平和を願いながら、限られた素材の中で染められた布。

その衣装は、ある舞踊家の方が現役時代に大切に使い続けてくださいました。
そして引退後、「これはきっと歴史的な資料になるから」と、私たちの元へ戻してくださったのです。

その方の想い。
祖父の祈り。
戦後という時代の記憶。

それらが、今も布の中に残っています。

形は、記憶を超えていく。
祈りは、時代を超えていく。

それを、今この空間で、木仏とともに展示しています。
19日まで、ご覧いただけます。

もしお越しの際は、ぜひ声をかけてください。
ひとつひとつの作品の背景を、お話しさせてください。

物語を知ると、作品はさらに息をし始めます。


私が立ち上げたこの会社も、目指しているのは同じことです。

紅型を、文化として保存するだけではなく、
未来へ動かすこと。

応援が価値になり、
その応援が次の挑戦を生む循環をつくること。

応援は、ちゃんと形になる。

木仏展も、その循環のひとつです。

作品を観ること。
話を聞くこと。
その場にいること。

それだけで、もう参加です。

この空間には、静かであたたかな祈りが流れています。

どうぞ、ふらりと立ち寄ってください。
特別な知識はいりません。
ただ、自分の心と向き合う時間を。

紅型も、木仏も、過去のものではありません。
今を生きる私たちの手の中にある、未来です。

城間びんがた工房の妻として。
そして、一人の発信者として。

私はこれからも、紅型を届けていきます。
人と人をつなぎながら、応援の循環を育てながら。

誰かの一歩が、また誰かの光になるように。

今日も、良い一日になりますように。
心からの感謝を込めて。

杜栄 代表
あずき

あずき|杜栄(もりふさ)代表

城間びんがた工房 代表の妻。
工房では運営・段取り統括を担当し、職人たちがものづくりに集中できる環境を整えている。

日々の流れを整え、ご縁をつなぎ、展示や企画を運営する。
制作の“外側”から工房を支える役割を担いながら、受け継がれてきた紅型の手仕事が、変わらぬ価値として次の時代へとつながっていくことを大切にしている。

紅型は、作品である前に“祈り”だと感じている。
色を重ねることは、願いを重ねること。
布に染めることは、誰かの人生にそっと寄り添うこと。

2026年2月

、「琉球紅型の杜栄(もりふさ)」を立ち上げる。
城間びんがた工房としてではなく、一人の発信者として、紅型をより身近に、そして世界へ届けるための新たな挑戦。

額装作品の展示販売やギャラリー企画を通して、
紅型と人、人と人が出会い、想いが交差する“場”を育てている。

目指しているのは、文化の保存ではなく、文化の循環。
応援が価値となり、その応援が次の挑戦を生む仕組みづくり。

手仕事のぬくもりが、誰かの心に静かに寄り添い、
長く受け継がれていくものとなるように。

一つひとつを丁寧に。
誠実に。
未来へ届けていく。

https://www.instagram.com/morifusa_ryukyu2025     杜栄公式Instagram

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