イベント・琉球の富を探る、茶の湯のひととき

沖縄・琉球の伝統文化が、今もこうして紅型を通して伝わっていることに、私は日々深い感謝の気持ちを抱いています。

紅型という手仕事の世界は、地味でコツコツとした作業の積み重ねです。けれどそのなかに、沖縄の自然の色、海や風、そして人と人のつながりが確かに息づいています。型紙一枚一枚に込められた想いや、色を重ねる職人の技、みんなの手を通して生まれる布の表情。そうした小さな“手仕事”が積み重なって、今も紅型は生きた文化として息づいているのだと思います。

このたび、そんな紅型や琉球文化をより多くの方に体験していただく機会として、特別イベントを開催する運びとなりました

このイベントは、沖縄と東京の二か所で開催いたします。沖縄は紅型の生まれ故郷、そして東京はさまざまな方々に沖縄文化を知っていただく新たな拠点となります。どちらの会場でも、きっと新しい出会いや発見が生まれることでしょう。

また、直接ご来場いただいた皆様には、紅型工房の日常やものづくりの現場について、普段はなかなか見られない写真や資料もご覧いただけるよう準備しています。イベントを通して、少しでも多くの方に「沖縄の手しごと」や「琉球の美意識」に触れていただき、日々の暮らしの中で小さな彩りや温もりを感じていただけたら、これ以上の喜びはありません。

今回の企画は、紅型の魅力をより広く伝えるだけでなく、皆さん一人ひとりの「つながり」を感じられる場にしたいと考えています。会場でお会いできることを、心より楽しみにしております。

ぜひこの機会に、紅型や琉球文化の奥深さ、人と人との絆を、体験しにいらしてください。
皆さまのご来場を、心よりお待ち申し上げております。以下ご案内です。

琉球の富を探る、茶の湯のひととき

—— 紅型・音楽・舞踊・茶、五感でめぐる沖縄の美と心 ——

この秋、沖縄と東京で特別なイベント「琉球の富を探る、茶の湯のひととき」を開催いたします。

紅型、茶道、琉球古典音楽、琉球舞踊——
それぞれの分野で活躍する沖縄ゆかりの表現者たちが集い、
“琉球の豊かさ”とは何か、過去から未来へ受け継がれる美意識や知恵、
そして今ここに生きる手しごとと心のかたちを、五感で味わうひとときをご用意します。

当日は、紅型作家・城間栄市による作品解説やトーク、
茶道・北島宗利による点前、琉球古典音楽(よなは徹・城間勇紀・城間あずき)、
琉球舞踊(真境名由佳子・福田えり)による特別なパフォーマンスをお楽しみいただけます。

お茶とお菓子をいただきながら、
目で、耳で、そして心で沖縄の歴史や文化、現代の息吹を体感しませんか。

【沖縄会場】
■日時:2025年9月23日(火) 14:00開場/14:30開始
■会場:城間紅型ギャラリー
■会費:5,000円(お茶・お菓子付き)
■ご予約:070-3800-0470(マジキナ)

【東京会場】
■日時:2025年9月27日(土)
1席目 10:30開場/11:00開始
2席目 14:30開場/15:00開始
■会場:世田谷区大原 旧柳澤邸(teaceremony-tokyo.com
■会費:6,000円(お茶・お菓子付き)
■ご予約:gigeijyuku@gmail.com

本イベントはどちらも、予約制・少人数での開催となります。
沖縄の伝統芸能と茶の湯が交差する、一期一会の特別な時間。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。


紅型に、時間と祈りを宿す

私は紅型を、単なる染色技法ではなく、
沖縄という土地で積み重ねられてきた時間や祈り、
そして暮らしの感覚を受け止める「文化の器」だと捉えています。

布に色を置くという行為の奥には、
自然へのまなざし、人への想い、
そして生き方そのものが静かに重なっています。
その感覚を、できるだけ正直に、今の時代の言葉と形で手渡していくこと。
それが、私が紅型と向き合い続ける理由です。


城間栄市プロフィール 生い立ちと紅型との距離

1977年、沖縄県生まれ。
城間びんがた工房十五代・城間栄順の長男として育ちました。

幼い頃から、工房は日常の延長線上にありました。
染料の匂い、布を干す風景、
職人たちの背中や交わされる何気ない会話。
それらは特別なものというより、生活の一部として、自然に身の回りにありました。

本格的に工房に入り、父のもとで修行を始めたのは、
沖縄県芸術祭「沖展」への初入選をきっかけとしています。
紅型を「受け継ぐもの」としてではなく、
自分自身の人生として引き受ける覚悟が、
そのとき初めて定まったように思います。


外の世界で学んだこと

2003年からの約2年間、
インドネシア・ジョグジャカルタに滞在し、
バティック(ろうけつ染)を学びました。

異なる気候、異なる宗教観、異なる生活のリズム。
その中で工芸がどのように根づき、人々の暮らしと結びついているのかを、
現地での生活を通して体感しました。

この経験は、
「伝統を守ること」と「変化を受け入れること」は、
決して相反するものではない、
という確信を私にもたらしました。


受賞・出展についての考え方

これまで、沖展、日本工芸会、西部伝統工芸展、
MOA美術館岡田茂吉賞など、
いくつかの評価や賞をいただいてきました。
また、文化庁主催の展覧会や、
「ポケモン工芸展」など、国内外に向けた企画展にも参加する機会を得ています。

こうした節目を迎えるたびに、
私自身の評価以上に、
紅型という存在を知ってもらう機会が広がっていくことに、
大きな喜びを感じています。

一つの作品が、
「沖縄にはこういう染め物があるのですね」
という小さな気づきにつながる。
その積み重ねこそが、紅型の未来を静かに支えていくのだと感じています。


制作について

制作では、伝統的な技法を大切にしながらも、
その時代、その感覚にしか生まれない表現を探り続けています。

代表作の一つである紅型着物《波の歌》では、
沖縄の海を泳ぐ生き物たちの姿を、
藍色を基調に、リズムと奥行きを意識して表現しました。

新しさを声高に主張するのではなく、
布に触れた人が、
どこか懐かしさや安心感を覚えるような仕事を目指しています。


今、そしてこれから

現在は、
城間びんがた工房十六代代表として制作を行いながら、
日本工芸会正会員、沖展染色部門審査員、
沖縄県立芸術大学非常勤講師としても活動しています。

これらの役割もまた、
紅型を「閉じた世界」に留めず、
次の世代や、まだ出会っていない人たちへと
静かにつないでいくための一つの手段だと考えています。

これからも、
展覧会やさまざまな協働を通して、
紅型という文化に触れる“入り口”を、少しずつ増やしていきたい。
それは広げるためというより、
必要な場所に、必要なかたちで、そっと灯りを置いていく
そんな感覚に近いものです。


おわりに

公式ホームページでは、
紅型の歴史や背景、制作に込めた考えを、
少し丁寧に言葉にして残しています。

Instagramでは、
職人の日常や工房の空気、
沖縄の光や緑の中で息づく紅型の表情を、
より身近な距離感でお伝えしています。

どちらも、紅型を「特別なもの」にするためではなく、
今を生きる私たちの暮らしと、
静かにつながる存在として感じていただくためのものです。

この場所を訪れてくださったことが、
紅型との、ささやかな出会いとなれば幸いです。

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