手を動かし続けることで未来が生まれる—琉球の染めに込める想い
2025.01.30
おはようございます!いつもご覧いただきありがとうございます。
琉球王国時代から続く紅型を受け継ぐ 城間びんがた工房 です。私は16代目の城間栄市と申します。
祖父の時代から私たちの工房には 20名前後の職人 が働いており、今でも同じくらいの規模で続いています。
工房は 首里城近くの首里山川町 にあり、私にとっては 生まれ育った実家でもあります。
私の習慣:「毎朝、父と握手すること」
コロナ前から続けている習慣があります。
それは 毎朝、父と握手すること です。
父は 実の親 であると同時に、 職業の親 でもあります。
仕事が始まる前に、気持ちをリセットし 「今日も良い仕事をさせてください」 という想いを込めて握手をします。

初心に帰る時間を持つ大切さ
コロナ禍で 紅型の工房ですら大変な状況 に陥りました。
その時、ふと 祖父や父の時代 を思いました。
戦争を経験し、すべてが壊れた沖縄。
その中で どういう想いで紅型を守り続けたのか。
どれほどの困難を乗り越えて、今の工房があるのか。
「 初心に帰る時間を持たなければならない 」
そう思った時、自然と 握手する習慣 が生まれました。
「ものづくりを通して琉球の思いを守る」
私たちの工房の 経営理念 は、
「ものづくりを通して琉球の思いを守る」 から始まります。
この理念を掲げたのは コロナ前 でしたが、
コロナを経て、改めて どんな気持ちで仕事を続けるべきか を深く考えました。
工房の棟梁として「仕事に惚れる人を増やす」
私は 工房の棟梁 として、 どれだけ仕事に惚れてくれる人を増やせるか を常に考えています。
かつて、40年以上紅型を続けた 先輩職人 がいました。
新しい柄を手がけるたびに、まるで 誕生日プレゼントを開ける子どものように目を輝かせていた のを覚えています。

「ああ、こんなふうに仕事に向き合う人生って素敵だな」
そう思いました。
私も今、そんな職人を一人でも多く増やしたい というささやかな願いを持っています。
共に働く仲間と過ごす時間
工房の運営は 細やかな傷が日々積み重なる作業 でもあります。
ですが、同じ志を持つ仲間と 時間を共有することで、その傷を癒してもらっている と感じます。
今日もまた 自分との約束を守り、自分のやりたい仕事に向き合う。
そんな気持ちで、工房に立ちたいと思います。
今日もまた、紅型を染める
こうして毎朝、父と握手し、気持ちを整え、仕事に向かう。
それを積み重ねることで、工房は続いていくのだと思います。
今日もまた、紅型を染める。
今日もまた、自分との約束を守る。
今日もまた、未来へ向けて、一歩を踏み出す。
その積み重ねが、きっと 次の時代の職人たちにつながる と信じています。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
皆さまの 関心と好奇心が、私たちの何よりの励み です。
心からの感謝を込めて。







城間栄市 プロフィール
- 昭和52年 沖縄県に生まれる。城間びんがた工房15代 城間栄順の長男。
- 平成15年(2003年) インドネシア・ジョグジャカルタ特別州にて2年間バティックを学ぶ。
- 平成25年 沖展正会員に推挙。
- 平成24年 西部工芸展 福岡市長賞 受賞。
- 平成26年 西部工芸展 奨励賞 受賞。
- 平成27年 日本工芸会新人賞を受賞し、正会員に推挙される。
- 令和3年 西部工芸展 沖縄タイムス社賞 受賞。
- 令和4年 MOA美術館岡田茂吉賞 大賞を受賞。
- 令和5年 西部工芸展 西部支部長賞 受賞。
- 「ポケモン工芸展」に出展。
- 文化庁「日中韓芸術祭」に出展。
- 令和6年 文化庁「技を極める」展に出展。
現在の役職
- 城間びんがた工房 16代 代表
- 日本工芸会 正会員
- 沖展(沖縄タイムス社主催公募展)染色部門審査員
- 沖縄県立芸術大学 非常勤講師
- 沖縄大学 非常勤講師